2020/06/08
冷え性は、思春期や更年期の女性に多く、全身が冷える、または、手足だけ冷える・腰部や腹部など部分的に冷えるといったケースがあります。
その成因には、末梢循環障害が根底にあるものが多く、自律神経機能、内分泌機能、心機能を含めた循環機能などとも関連しています。
そして、鍼灸治療の対象となる病態は以下の通りです。
・血管自律神経障害による冷え性下肢血管とくに足部血管の自律神経障害が原因の場合。
足の冷えに加えて、全身の交感神経機能の亢進状態に伴う動悸や発汗状態、高血圧症などを合併していることが多いです。興奮しやすくイライラ感を感じる事があります。
・基礎代謝の低下による冷え性足や腰の皮膚血管の問題だけではなく、基礎代謝そのものが低下し、全体的に皮膚温度も低下する場合。
代謝が悪くエネルギーが発生しません。若年女性に多く、やせ、低血圧、偏頭痛、食欲不振、朝の寝起きが悪い、青白い顔で元気がない、月経痛などの症状がみられます。
・骨盤内の循環障害(於血)による冷え性の場合。
解剖学的に、右総腸骨動脈が分岐部で左総腸骨静脈と交差してこれを圧迫するため、左の下半身、主として下肢や骨盤腔内からの血液循環が静脈系で悪くなります。
とくに女性は、月経前に血液が内性器に集まってくるため、うっ血が起こりやすいです。
さらに、妊娠、出産により骨盤腔内にうっ血を起こしやすくなり、下腹部刺痛、下腹部の膨満感や抵抗・圧痛、月経異常、皮膚の荒れなどの症状がみられます。
治療は、血液の循環の改善と自律神経の調整を目的に行います。経絡治療を行い自然治癒力を高め、頚背部の自律神経を緩め、病態に応じ仙骨部、下腹部、下肢のツボを選穴し、鍼灸治療を行います。